帰省することが叶わなかったので令和三年の年明けは自宅でのんびりと過ごす。正月に帰省しなかったのは人生で初めてだったのでやや寂しい。
近所のスーパーで正月っぽい食べ物を買ってきて雰囲気を出す。黒豆は自分で煮てみたのだけど、ちゃんと美味しく煮ることができた。
技術書典 10 で同人誌を二冊買ったのでざっと目を通した。
一冊目は「DAW・シーケンサーエンジンを支える技術」の第二版。音源のエミュレーションをするのに役立つ知識があるかな、と思って買ってみた。ニッチな話題を扱っているけど、初めに対象読者が明確に定義されているから書き手と読み手の期待値がずれることはなさそう。自分は VST などのプラグインどころか DAW も触ったことがないので明らかに対象読者ではなかった。実際出てくる固有名詞がほとんど分からない、といった感じだったけれど、概念的なところは意外と理解できる部分が多かった。エミュレータを実装する過程で苦労した部分と本質的に重なる部分が多かったからかもしれない。逆に言えば、ある程度コードを書くなりして苦労した経験がないと本書の内容を読み進めるのは難しい気もする。全体的には知らない世界への俯瞰的な見方を与えてくれた一冊で満足度が高かった。
二冊目は「3D グラフィクス API Vulkan を出来るだけやさしく解説する本」。こちらは頑張って中ほどまで読み進めたが途中で止まってしまっている。これは自分の、Vulkan から 3D グラフィックスに入門しよう、という見通しが甘かっただけで、本書に非はない。むしろ本書は良く書かれていて、予備知識をあまり必要としないし、個々の API がなぜ存在するのかといったあたりも軽く触れられていたりする。この手の本、とくに和書は「どうやって」は説明するけど「なぜ」を説明しない本が多いのだけど、この本にはそういった不満を覚えなかった。一方 Vulkan に対しては複雑な印象を持った。自分は API の本質を、抽象化を通して「出来ることを制限すること」で「有用な概念を提供すること」だと思っている。Vulkan はそれを諦めているように思えてしまった。低レベルな API なのは過去の反省を踏まえた意図的なものであると本書の冒頭にも説明があるし、実際その通りなのかもしれない、とは感じたが、自分みたいに 3D グラフィクス全く分からない勢としては素直に OpenGL を勉強したほうがいい気がした。